『 大根 』がおいしい季節です。中国から日本に伝わり、奈良時代の歴史書「古事記」には、春の七草「すずしろ」と記録されています。だいこんと呼ばれるようになったのは室町時代ごろから。本格的に栽培されるようになったのは、江戸時代です。春から夏はやや辛く、秋から冬にかけて甘みが増しておいしくなります。ビタミンCと消化酵素アミラーゼ(ジアスターゼ)が豊富に含まれ、生のまま食べると酵素が活かされて、胃もたれ解消や胃粘膜保護などの働きを期待できます。また、葉はカロテン、ビタミンC、カルシウム、食物せんいが豊富な緑黄色野菜ですので、鮮やかな緑のものはすぐに切り分けてサッとゆで、煮ものの彩りや炒めてふりかけにするなどして利用できる 余すところのない野菜です。
《 部位別調理法を知りましょう 》
大根は葉に近い部分が甘く、下にいくほど辛みが強くなります。首の部分はやや硬く、おろしやサラダ、酢のものなどに。やわらかい中央部分はおでんなどの煮ものに向いています。さらに下の部分は、みそ汁やスープ、きんぴらなどに。最も辛い先端は、肉や魚の生臭みを消すための薬味としても。それぞれの部分を活かして、1本丸ごと使い切ってください。
《 大根の辛み成分を和らげるには・・ 》
辛味成分は揮発性のため、おろして時間を置くと辛味は消えます。また、酢を加えることで辛味は和らぎます。加熱によっても辛味はなくなるため、下ゆですると苦みを残さず、おいしさをアップできます。辛い大根ほど煮ると甘くなるとも言われます。
= ふろふき大根 =
◻︎ 材料( 4人分 )
大根・・中1本 だし昆布・・適量
A(合わせみそ) みそ・・1/2カップ 酒・・大さじ3 みりん・・大さじ3 砂糖・・大さじ2
◻︎ 作り方
① 大根は4cm厚さの輪切りにし、面取りして米のとぎ汁で下ゆでする。
* 面取り・・野菜の角を削り、形を整えて煮くずれを防ぐ。包丁が苦手な時はピーラーで。
* とぎ汁がない時は、大さじ1杯の米をティーバッグに入れて一緒に煮てもよいでしょう。
② ①の大根を鍋に入れ、だし昆布と水を入れて軟らかくなるまで煮る。
③ Aを別の鍋に合わせて弱火にかけ、とろりとするまでよく練る。
④ 器に大根を盛り、③のみそをかけてゴマ少々をふる。
【 メモ 】昔、漆器を作る時に早く乾燥させるため 大根のゆで汁を風呂(作業室)に吹きかけました。
その残りの大根を食べたところ、おいしかったので、この料理を「ふろふき」と呼ぶよう
になったと言われます。減塩中や砂糖の摂り方が気になる方は、合わせみそを控えめに。